子どもの発達 はどうやって決まるの?遺伝と環境の影響【発達心理学】
こんにちは!
子育てインストラクターのなっぺです🐣
今、子育てをされているお母さんやお父さん。
「将来子どもにはスポーツ選手になってもらいたい!」や
「私が勉強嫌いで苦労したから、子どもは勉強を好きになってほしい!」
といった願いから、
「勉強もスポーツも出来なくていいけど、人には優しく、謙虚な人間になってほしい。」
「特別秀でてほしいわけではないけど、周りより劣っていると不安になってしまう。」
など、たくさんの想いや期待、それと同じくらいの不安や心配を抱えて子育てをされている方が多いと思います。
今回は発達心理学の観点から、「子どもの発達はどのように決まるか。遺伝と環境の影響」についての専門知識をより分かりやすく説明したいと思います。
保育の勉強をしている学生にも勉強になるように、少し難しい単語の説明もしますが、お父さんお母さんはすっ飛ばしていただいて大丈夫です👍
「 子どもの発達 」とは
保育現場の中での「発達」とは、子どもたちが何らかの技能や能力、知識を身につけることによって、今までできなかったことができるようになるというニュアンスが強いです。
また、子どもの変化の過程は決して一様のものではなく、とくに幼少期であればあるほどその個人差は大きくなります。
それは同じ年齢、月齢であっても、身体的発達、運動能力、ことば、情緒、その他あらゆる面においてそれぞれの発達の様子は異なります。
これはきっと、子育て中の方が一番よく感じるかもしれません。
しかし、それらは「達成されるもの」としてだけではなく、そこに至るまでのプロセス(過程)も大切になります。
他の子どもと比べて、「気になる」子どもの行為なども自分自身を変化させるプロセスであり、そういった日々の積み重ねを通して子どもの発達があることを理解する必要があります。
ではそれらの発達の個人差はいったい何が大きく影響しているのでしょうか。
今日まで、 子どもの発達 の個人差を説明する理論は何か、様々な議論が行われてきました。
その中で対比的に示させることが多かったのが、
◆ 遺伝優位説
◆ 環境優位説
の二つです。
順番に説明したいと思います。
1.遺伝優位説(成熟優位説)
これは、
遺伝的にあらかじめ決められている成熟プログラムの通りに、一定の順序で起こるとする考え方です。
つまり発達の基本的なあり方と順序は環境によって変わることはなく、成熟によって決まると考えています。
アメリカの小児科医・心理学であるゲゼルという人が提唱しました。
あるひとつの行動を出来るようにするためには、子どもが心身の機能が発達し、その行動を習得できるような知識、経験、身体などができあがっている状態であること。
要は子ども自身が学ぶ準備が整うまで待ってから、教育・学習を行うことにより効果が期待されるということです。
この状態のことを専門用語ではレディネスといいます。
このレディネスが整っていれば、外的働きかけの開始時期や練習量は結果的にそれほど大きな意味を持たない。としています。
逆にレディネスが整っていない状態で教育や学習を行っても、効率が悪いどころか、子どもにマイナス効果を及ぼす場合もあります。
たとえば、ある動作や学習にレディネスのある子供は、興味を持って自発的に学習を進めるため、適切な学習効果を上げることができますが、レディネスのない子供は、興味が持てないため、持続せず思うように学習の効果を上げることができません。
それどころか、「無理やりやらされてる」と感じてしまうと拒絶反応を示してしまうかもしれません。
2.環境優位説(経験優位説)
一方こちらは、
目的の応じた環境を用意し、経験を与えることによって発達は操作できるという考え方です。
一卵性の双子でも、違う親によって違う環境で育つと、全く違う性格になる。
経験しだいで発達は大きく促進させることが可能であり、十分な環境を用意することで、人間の能力はいくらでも伸ばすことができる。
そう提唱したのはアメリカのワトソンという心理学者です。
つまり、 子どもの発達 や特性の個人差は生育条件と環境刺激によるものであり、環境条件が整い、必要な学習刺激が与えられれば、どのようにでも発達する。どのような人間でもつくりだせると考えていました。
3.相互作用説
上記の二つの理論を踏まえ、現在、発達を規定する要因を最も合理的に説明できるとされているのがこの相互作用説です。
「遺伝」と「環境」、あるいは「成熟」と「経験」は切り離して考えられるものではなくて、相乗的に影響して発達を形づくっていくという考え方です。
子どもの遺伝的素質が環境に影響を与え、その環境から影響を受け変化した子供の素質がまた新たに環境に働きかけていくというように、絶え間なく影響を与えながら発達を形づくっていく。
つまりそれぞれを関係のないものとして捉えることは出来ないというのがこの理論の前提になります。
たとえば、子どもが周りの友達を見て野球に興味を示し「キャッチボールがしたい!」と言い出したとします。
親は面倒でも相手をし、もし子どもが他の子より上達が早そうだとなれば、道具を揃えたり、野球チームに入れたり、どんどん環境は変わるかもしれません。
逆にどんなに環境が整っていて親が野球好きでも、子どもが嫌がればその環境は縁遠くなっていきます。
きっと無理やりやらせても上達は見込めないでしょう。
ここは初めのレディネスと同じ理論ですね。
遺伝と環境を超えるもの
少し専門的で難しいお話になってしましたが、
では結局のところ、子どもの成長にとって何が大切なのでしょうか。
環境よりも、遺伝よりも、自分自身の発達を最も支えるもの。
それは、子どもの成長への意欲です。
産まれた後の「環境」は生まれる前に決まっている「遺伝」よりもはるかに影響を受けやすいとされます。
そして、それぞれの子どもにとって適した環境があってこそ、その時に応じた成長があります。
しかし、同じ年齢で与えられた「環境」が同じでも、一人ひとりが内的に「経験」することは千差万別です。
たとえば水遊びが好きな子どもと、水に入るのが怖い子どもがプールの中で経験していることの内容は全く異なってきます。
それは子どもが持っている好き嫌いにもよりますし、身体や心の発達段階にもよります。
つまり子ども自身に意欲がある時と、意欲がない時では、同じ環境で客観的には同じ経験をしていても、内的経験とそこから得られるものは全く違ってくるのです。
どんなに恵まれた才能、環境にあっても、本人が上達を望まない力は発揮されないし、逆の場合においては、さまざまな不利や困難を乗り越えて、周囲が思いもよらない力を発揮していきます。
もちろんそれは、幼児期や乳児期にも当てはまります。
大人が子どもに早期教育を行う際は、
教え込むのではなく、子どもの興味があることを自由に楽しむ、好きなものに集中できる環境をつくってあげること。
それが発達において何よりも大切なのです。
子どものやる気を上げるには?
英語や音楽、運動などで早期教育が注目されている現在、やる気がないと上達を見込めないのであれば、そのやる気を上げることが大切になります。
では子どもたちが意欲的になるためにはどうしたらよいのでしょうか。
発達心理学の観点において、人を意欲的な人積極的に行動させるもの、
それは、人との情緒的関係である、とされています。
情緒的関係と一言にいってもそこには、愛情、好意、尊敬、憎しみ、怒り、怖れ、悔しさといった感情が含まれます。
時には怖れや悔しさが積極的行動を起こさせることもあります。
それは虐待であったり、パワハラの原因でもあるかもしれません。
しかし、間違えなく生きることそのものへの「意欲」に対して「愛情」の力はどんな感情にも勝り、安定しています。
周囲から愛され必要とされているという内的体験が自分自身への自信を形成し、自己実現、つまり何かに働きかけ、それを獲得し、自分の能力や個性を実現しようとする意欲の源となります。
そしてまた、周囲を愛する気持ちが、期待に応えたい、役に立ちたいという気持ちを湧きあがらせ、さらなる成長に繋がっていくのです。
実際に、周囲から隔離され保育器の中で育てられている未熟児の赤ちゃんを、保育者が抱いて話しかける時間を設けたところ、情緒的にも身体的にも発達が促進されたという実例もあります。
まとめ✅
子どもの発達 に関して、今日までさまざまな理論が世界中で行われてきました。
英語や音楽、勉強や運動。子どもの才能を伸ばすためにたくさんの教材や教育法が用意されています。
ですが、子育てに正解はありません。
遺伝も環境も何一つとして同じ子どもがいないように、発達もそれに合った子育ても千差万別なのだと思います。
しかし、そのどれもに共通するのは、お母さんお父さんといった養育者と子どもとの間にしっかりとした愛着の関係があるからこそ、子どもは自己肯定感を持ち、よりよい発達をしていくということです。
幼児期にどんな立派な教材を使わなくても、有名な教育論を知らなくても、子どもを心から愛することが出来ればいいのです。
そのうえで、子どもの興味をひきだし、好きなだけ集中できる環境を作る、それが大切になります。
初めにもお伝えしたように、「何が出来るか」ではなく、「それを学ぶためにどんなプロセスを得たか」をよーく見てあげてください!
少しでもお母さん、お父さんの子育てに対する不安や肩の荷が下りるといいです😊
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