チルドレンズ・ミュージアム から学ぶ幼児教育【アメリカ】
こんにちは!
子育てインストラクターのなっぺです。
突然ですが、「チルドレンズ・ミュージアム」をご存知ですか?
最近では日本でも「アクティブ・ラーニング」という興味・関心から学びを広げる教育方法が注目され、教育現場でも重要視されるようになってきました。
そんな、自発的な学習を促す先進的な事例として注目されているのが、この チルドレンズ・ミュージアム 。
アメリカではそんな子どもの学びのための博物館を1899年世界で初めて作り、世界中に広めました。
しかし、実際に私が行ってここで学んだことは、子どもの勉強法ではなく、子育てにおける進んだ考え方でした!
それを子育て世代や幼児教育を学んでいる人に知って頂きたいと思い、今回は チルドレンズ・ミュージアム が大切にしている考え方や特徴についてご紹介します✨
チルドレンズミュージアム って何?
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一般的な美術館や博物館は、展示物を見て鑑賞することを基本としていますが、
このチルドレンズ・ミュージアムでは、写真のように科学やアートなど手で触って、遊びながら楽しめる体験学習を重視した展示とプログラムを提供しています。
他にもロッククライミングやアスレチックなど、身体全身を使って遊べる場所もあります。
0歳からだいたい12歳くらいまでの子どもたちが出入りしており、
「小さな子どもにとっては何かを教えることと同じくらい、触って自分の目で確かめることは大切だ」
という想いから作られました。
現在、アメリカには全部で200箇所以上。
小規模のものからスポンサー型といってたくさんの企業がサポートし、お仕事体験ができるキッザニア的な場所など、さまざまなバラエティがあり、子どもだけでなく大人も楽しめます。
そんな チルドレンズ・ミュージアム のアクティブ・ラーニングにかかわる特徴的な展示手法の事例を簡単に説明します。
【ハンズ・オン展示】
手で触れ 、音を聞き、全身で振動を感じるといった行為を促す展示を指し、子どもたちが触れやすいよう展示の高さや安全面が考慮されています。
人が思わず試したくなるこんな4つのポイントが展示に盛り込まれます。
例えばうちの子どもは、ゴルフボールを実際に転がして遠心力を学ぶ実験が大のお気に入りで、毎回30分以上は離れません。笑
このように興味・関心を引き出す工夫がされた展示やプログラムの中から、子どもたちは自分で好きなものを選ぶからこそ、より夢中になれるのです。
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【生活視点での展示】
歴史、芸術など分野によって展示を分けるのではなく、あくまで「生活」という視点であらゆる分野の展示を1つの館で体験することができます。
子どもたちの興味が赴くままに様々な展示を行き来することができ、知的好奇心を刺激する仕掛けづくりがなされているのです。
日本文化の展示の際は、昭和の家を忠実に再現したり、和太鼓の生演奏が聞けたり、そのクオリティには驚きました!
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チルドレンズ・ミュージアム が大切にする考え方
少しずつイメージが湧いてきましたか?
ではチルドレンズ・ミュージアムが大切にしていることは何か、実際に現地のスタッフに聞いたことをまとめてみました。
1.playful learning
世界でも有名なボストン・チルドレンズ・ミュージアムでは、科学の実験をする、絵画を描く、異文化を学ぶ、プログラミングでおもちゃを作る、身体の仕組みを知る、などたくさんの体験ができます。
そこでの理念は『playful learning』。
楽しく学ぶ、ということではなく、「楽しいことの中に、学びはあふれている」という考え方です。
遊びと学びは一体であり、大人がするのは、遊びの場とツールを提供するだけ。
そしてその遊びは、決して受動的ではなく自発的なものである必要があります。
なぜなら人は子どものうちから、探求心、好奇心、想像力を養うことで人生の様々な困難を自ら乗り越えていけると考えているからです。
そして子どもたちはそんな自発的な経験や遊びを通して、また新たに自分の興味を発見し、未知の世界を知ることができます。
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2.FAIL〔失敗すること〕
理数系を重視したSTEM教育を軸に創造力を養うワークショップでは、3Dプリンターを利用して物づくりを体験します。
そのdesign process〔デザイン・プロセス〕の理念のなかで「FAIL=失敗する」を最も大切にしているそうです。
そのためスタッフはあえて、失敗するかもしれないことを「大丈夫、やってみよう!」と励ますのです。
日本からすると、なぜ???って思っちゃいますよね。
けどその失敗を経験させることによって、 「Risk friendly (失敗を恐れない)」気持ちを養う目的があります。
テストの点数で評価される日本の学校教育では、失敗が許され、寛容に受け入れられる機会が少ないような気がします。
子育てとは、子どもが転ばないように道を平らにするのではなく、転んでも立ち上がる強さを身につけ、でこぼこな道でも自分の意志で歩いていけるようにすることなのだと、勉強させられました。
3.つなぐ役割
親子で体験できる科学の展示を用いて、職員はある調査をしていました。
聞くとその内容は、「どれだけの回数、子どもと大人がコミュニケーションを交わしたか」。
つまり、その展示の目的は科学実験ではなく、親子の関わりを増やすことなのです。
あそびを通して子どもと家族をつなぐ、ある時は異年齢児のコミュニケーションをつなぎ、またある時は地域や学校と課題を共有することでつながる。
さらには、貧困や劣悪環境にある子ども社会をつなぐ、アウトリーチプログラムも行います。
そうやって安心して誰もが受け入れられ、あそびから子どもたちの生涯における学びをつなぐ場でもあるです。
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4.Family Learning
スタッフの話の中で何度も聞いた言葉がこの「Family Learning = 家族学習」。
子どもの学びだけでなく、子どもと家族の生活を変える力を持ったすばらしい学習体験を創造することも、このチルドレンズ・ミュージアムの目標のひとつなのです。
そのため、親子で同じ体験を共有できるように展示に工夫がされています。
また、おさるのジョージなど有名なキャラクターを用いた企画展、子どもとの関わり方の提案や保護者にとって役立つであろう教育プログラムなども行われます。
アメリカ的なものとしては、薬物中毒の母親のための更正プログラムを提供している例もあるそうです!
5.すべては手段である
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ここまで チルドレンズ・ミュージアム ではさまざまな体験をご紹介してきました。
日本人から見ると、ここからどんなお勉強が出来るのか、これからはテストにどう役に立つのか。
そんなことを考えてしまいがちです。
しかし、スタッフの方は「 チルドレンズ・ミュージアム で体験できるすべては、人格形成と生きる力を育むのための手段である」とおっしゃっていました。
理科の実験のように確実に一回の体験で答えを学ばせようとするのではなく、何度も繰り返して、たとえそれが何年かかっても学びを自ら発見できればよいのです。
そこで子どもは、自ら学びを発見することはこの上ない喜びだと気が付きます。
それはもしかしたらスキルを学ぶことよりも大切で、カリキュラム通りに進む学校教育では不可能なことなのかもしれません。
この多様な時代の中で、いかにこの社会に適応し、自分らしく生きていくかを子どもの時から学ばせることが重要になります。
自分がどういう存在なのかは、たくさんの経験を通じてしか知ることができないので、幼い時期からたくさんの体験ができる環境を用意することが大人としてやるべきことなのかもしれません。
以上です!
このながーいブログを読んでくださってありがとうございました✨
ぜひ機会があれば、行ってみて下さい!
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2*【発達心理学】子どもの発達はどうやって決まるの?遺伝と環境の影響
3*小学校の先輩ママに聞いた、あったら便利なアイディアグッズ
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