若い保育者を育てる 幼稚園・保育園のマネージメント力

こんにちは!

子育てインストラクターのなっぺです🐣

私はお仕事で保育園や幼稚園で働く先生たちの、保育上の悩みや保護者支援についての相談にのっています。

 

先日、そこである保育園の園長先生がこうおっしゃっていました。

「子どもではなく 若い保育者を育てる がとても難しい。教えようと思って少し厳しくすると、すぐに辞めてしまう。引き止めるだけで精一杯です。」

 

ある名門私立幼稚園の園長先生からも、

「どの園も人手不足が深刻だが、長く勤めている先生と若い先生が上手くいかず、辞めてしまうことも多い」

と相談を受けました。

若い保育者を育てる

 

現に退職をされた保育士、幼稚園教諭の転職において、不安に感じていることの1位が「勤務時間」(40.3%)、残業の多さ、土日出勤の有無。

そして次に多いのが「人間関係」(28.2%)といった結果が出ています。

(参考:保育求人ナビ 転職相場データより)

 

女性の多い職場ということで、独特の派閥ができる保育園もあるため、そこへの懸念が大きいとされます。

こうした人間関係悪化のひとつの原因として、今まで幼稚園・保育園では 若い保育者を育てる マネージメントという概念があまりなかったことが挙げられています。

 

 

今回は、『若い子がすぐに辞めてしまう』という課題を抱えた園の方へ、

ゆとり世代、さとり世代とも呼ばれる若い保育者の特徴を知り、保育現場でのマネージメント力を上げる方法をご紹介します。

 

ぜひ、園長・主任・リーダーをされている方にも読んでいただきたいと思います!

 

 

若い世代の保育者は何が違う?

若い保育者を育てる

企業と同じように人手不足が深刻な保育園や幼稚園。

業務内容お給料などさまざまな退職理由が挙げられますが、

団塊の世代と若い保育者とのすれ違いといった人間関係が原因で精神的なストレスを抱えてしまうことも少なくありません。

 

そんな話をしている私もゆとり世代と呼ばれる年齢なので、幼児教育の大学だったため同じ年齢の保育者は多く知っています。

自分の意思をしっかりと持っている子もいますし、1.2年で園を変えた子や保育者を辞めてしまった子もいます。

しかし、それは今の時代だからでしょうか?

 

「最近の若い子は心が育ってない。」

そう言ってしまえば簡単ですし、本当にそう見えるのかもしれません。

 

ですが、それでは何も解決せず、退職者も減りませんよね。

よく言われるような、ゆとり教育による人間性や忍耐力の欠如などマイナスイメージの大きい若い世代ですが、

人生の主軸や、仕事に対する考え方が大きく違うように思います。

 

日本社会が大きく変化していく中で同じように変わってきたのは、人生において大切なモノや、自分自身のあり方なのかもしれません。

そういった労働する側の変化についていけなければ園だろう企業だろうと、今後もずっと人手不足に悩まされることは間違いないでしょう。

ぜひ上司と部下の良い関係づくりだけではなく、これからの保育現場のあり方としても参考にしていただけると幸いです。

 

 

 

若い保育者を育てる 時代に合わせた園の労働環境

若い保育者を育てる

ワークバランスの変化に合わせる

若い世代は何よりも家族や友達といるプライベートな時間を大切にする人が多いのが特徴です。

「ワークライフバランス」という言葉も浸透してきましたが、仕事を人生の目的としない生き方が当たり前になってきました。

仕事は人生を楽しくするための手段であり、生きる目的ではないのです。

 

これは働き方を根本から見直す必要があります。

作品展前のサービス残業、壁面装飾や日誌などの持ち帰りの業務など、プライベートの時間を奪うものが多ければ多いほど、仕事へのモチベーションは下がります。

それらは決して甘えではなく、給料が発生していない時間に働くことがまず間違っているのです。

1人あたりの業務量の見直しをするなど、「保育現場の当たり前」は変わらなければいけません。 

 

 

具体的、かつ論理的な理由>伝統的なルール

もうひとつの特徴としては、上司からの指示や昔からの伝統的なルールだとしても、その内容に納得できなければ動かない(意欲的になれない)傾向があります。

特に伝統など形式的なものは、なかなか受け入れられません。

かと言って無理やり押し通しても、やらされている感を覚えるだけでモチベーションは大きく下がってしまいます。

「なぜやる必要があるのか」「なぜしてはいけないのか」など「当たり前」と感じることでも、具体的、かつ論理的に説明する必要があります。

 

特に古くからある園ほど、昔からのやり方や伝統があります。

中には、その園のブランドを失わないために必要な決まりもあるでしょう。

 

しかし例えば、

・職員会議は、1番下っ端が先輩全員の好みの飲み物とマグカップを覚えて準備する。

・入園式や卒園式等の行事では、園長が指定した時間の40分前には着かないといけない。

など暗黙のルールや変わった風習など、「それ、本当に必要?」といった決まりが多いのも事実です。

 

一度古いルールを見直して、今の時代にあったものに変えるのも大切でしょう。

(話し合っても下の職員は意見が言えないことが多いので、主な経営者たちが積極的に向き合いましょう。)

 

 

 

若い保育者への具体的な指導法

若い保育者を育てる

その1.保育者の自身の保育理念を明確にさせる

・自分は何のために働くのか

・園全体で目指したい保育のあり方・理念

といった、いわゆる「動機づけ」をしっかり行うことが大切です。

 

もちろん初めは漠然としていることが多いと思います。

実際に保育をする中で目指すべき保育者像を見つけ、自分の理念を持たせることで、ただ何となくやる保育より何倍も継続的なモチベーションややりがいに繋がっていくでしょう。

 

忙しい毎日に流されず上司からこういった問いかけや話し合いがフランクに出来るようになるのが理想ですね!

 

 

その2.目先の指示ではなく、全体の流れを伝える

制作準備や片付けなど細かい作業も多い保育現場ですが、ただ手順だけ伝えて「やっといてね」などの指示では、使われているような心象を受け、全くやる気は出ません。

仕事の全体像から説明し、「だからこれをやって欲しい」と具体的にブレイクダウンして伝えるだけで、仕事の意義を理解し、主体的に取り組んでくれるようになります。

 

ただ指示を待っているだけより、「先に何があるから、前回と同じようにこれをした方が良いかもしれない!」と考えられるようになれば、本人の成長だけではなく、業務の効率にも大きく繋がるでしょう。

 

 

その3.大きな目標ではなくスモールステップを与える

スモールステップとは、少し頑張れば達成できる目標のこと。

初めから大きな達成目標を掲げてしまうと、「自分は何もできない…」と自己肯定感がどんどん下がってしまいます。

保育者として子どもの前で自信が持てなくなる、自分の役割や指導法が不安になるのはとても辛く、「保育者には向いてない」と思う原因にもなります。

 

主任やリーダーなどの教える方は、目標を聞いたうえでそれを細かく噛みくだき、いつまでにどのようになって欲しいのかという課題を作るようにしましょう。

小さな課題にすることで、自分も指導者も成長の段階やスピードが適切に判断できるようになります。

 

 

その4.しっかり褒める、認める

保育は常に対人間の仕事ですから、予想外なことへの臨機応変さが求められます。

その分、毎日同じルーティーンだけでは学べないことも多く、失敗と反省もたくさんします。

そんな出来ない部分ばかりに目がいき「減点評価」をしていませんか?

 

どんなにベテランでも、全てを間違わない保育者などいないのですから、「できるようになったこと」「少しでも進歩したこと」を見つけ、褒めてあげることが大切です。

継続して仕事に取り組み続けるためにはモチベーションの維持が必要なため、成長した点、できるようになったことを認めてフィードバックをしましょう。

 

大手企業のマネージメント方法でも、「一つ注意をするのに、五つ褒める箇所を見つけて伝える」という心持ちが大切だと言われています。

ぜひ心掛けてみましょう!

 

 

その5.感情的に叱らない

若い世代の特徴として、感情的に叱られることを極端に嫌います。

「これくらいは社会勉強のうち」と厳しく叱った次の日から出社しなくなってしまった。なんてこと一般企業にもよくある話です。

どんなに正しいことを言っていても、伝え方が悪ければ、本人を傷つけてしまったり関係性を悪化させることになってしまいます。

「この人は自分を傷つける敵だ!」と思ってしまったら、内容が良くても悪くてももうその人の心には響かなくなるでしょう。

 

またこれは若い保育者本人が叱られた場合だけでなく、誰かが叱られているのを目の当たりにした時にも影響を受けるという点が他の世代とは大きく異なる点と言えます。

目の前で誰かが叱られている姿を見るとそれを自分と重ね合わせてしまい、仕事が嫌になる、叱っている人間が怖くなるといった現象が起こるのです。

 

保育業界は女性だけの職場であることや、仕事上では子どもに対する怒りの感情をおさえている分、特に感情的な指導や厳しい物言いがヒートアップしやすくなります。

注意する際は一呼吸おいて、「どうしたら良かったのか」と本人に考えさせながら導いていきましょう。

 

 

その6.園全体で人を育てるという意識を持つ

新人教育でカギとなるのは、「先輩保育者」の存在です。

とくに年齢や経験年数でランクが決まる保育現場では、何が出来たか出来なかったかではなく年功序列が基本となります。

そのなかで、先輩保育者が無意味に厳しい環境や言葉を与えたり、個々のモチベーションを下げるような行動をしていたりすれば、新人教育において最大の弊害となります。

 

尊敬できる先輩の指導の下で育った保育者は、その後の成長の伸びが違う。

だからこそ、若い保育者だけでなく中堅層やリーダー層の教育も大変重要であることを、認識しなければなりません。

 

たとえば、園への配属後のある一定の期間、1人の先輩保育者が指導を担当する「バディ制度」「マンツーマン指導」は、中堅のマネージメント力を高めるのにも、若い保育者が相談できる窓口をつくためにも、とても有効です。

>マネージメントという点において、園全体で共通の理解をもって人を育てる環境を作っていく想いと、その覚悟が必要となっていくでしょう。

 

 

まとめ

若い保育者を育てる

日々の保育や教育のなかで保育者たちは、子どもを主体としたねらいを立てますよね。

『子どもが何を感じているか。子どもは何を学んでいるか。そのために保育者はどのような環境作りや働きかけができるのか。

いいところを見つけたらたくさん褒めて、危険なことはしっかりと伝える。』

 

実はそれってマネージメントにおいても同じことなんです。

『この保育者は何を感じ、何を学んでいるか。そのために先輩の保育者はどのような環境作りや働きかけができるのか。

それが保育だけでなく一般企業でも、大切なマネージメントのやり方です。

自分の意志や決まりを押し付けることが教育ではありませんよね!

もし現在若い保育者の教育に悩まれているようでしたら、少しでも参考にしていただければ幸いです。

 

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